病院長挨拶

令和5年4月/朝日野総合病院 病院長野村 一俊

新型コロナとの戦いも4年目に入り、令和5年5月にはコロナが2類感染症から5類感染症に移行され、社会は本格的なwith コロナとなります。しかし、医療機関や福祉施設でのコロナとの戦いはまだ終わりません。

この3年の間、殆どの医療機関、福祉施設ではクラスターが発生し、その対応に追われました。当院ではコロナ院内クラスターが過去3回発生しました。令和3年9月に発生したクラスターでは、転院隔離治療が出来、陽性患者様の接触病室だけで封じ込めに成功し、転院されていた感染患者様も殆どが無症状、軽症で当院へ戻って来られ、10月中旬より、一部制限していた診療を解除することが出来ました。この院内クラスターでは、複数回のPCR検査で陽性が判明した無症状例もあったこと等から、院内感染の水際対策の難しさを痛感させられました。

令和4年2月、入院患者様、職員ともに陽性者が判明、PCRスクリーニング検査であっという間に多数の陽性者が判明致しました。今回はオミクロン株の強い感染力と感染経路が不明なことが多かったこともありますが、前回のクラスター時の対応と違っていたことは、陽性患者様の転院隔離治療が出来なくなり、当院で隔離治療を行わざるを得なかったことでした。丁度、満床状態で、病室毎の隔離には限界があり感染拡大へと繋がりました。最終的には、コロナ感染病棟を作り、動線を分離し、隔離、コロナの治療、原疾患の治療を固定スタッフで行い3月中旬にやっと収束させました。

これらの経験を踏まえ、クラスター発生時に最小限の影響で乗り切って行けるよう即応体制を整えていた中で、第8波が押し寄せました。当院では令和5年1月初めにクラスターが発生し、1年前を上回る感染者数となりました。準備していたコロナ病床では収容できず大変な状況となりましたが、何とか持ち堪え、救急車の制限や新規入院の制限を行うことなく収束させることが出来ました。

ところで、働き方改革が医師に対して2024年に適用されます。医療機関の大半は既にその適用体制に入っており、今後の影響が懸念されています。特に、医師の宿日直許可取得に伴う、時間外救急の制限は、新型コロナによる救急受け入れ制限と相俟って、これまで築き上げてきた熊本の救急医療体制への大きな影響が懸念されています。これらの課題を乗り切るためにも、これまで以上に地域の医療機関と連携し、地域の医療資源を十分に活用することが必要だと考え、努力を続けております。

当院は、高齢社会の複雑化した医療ニーズにも幅広く応えるべく急性期、回復期、維持期、緩和ケアの病棟を設置し、救急から在宅に至る幅広い医療を提供出来るように努めて参りました。コロナ禍、医師の働き方改革への対応と課題は山積していますが、これからも基幹病院、地域の医療機関、介護福祉施設等と連携の上、当院が地域で果たすべき役割を追求し、医療の質の向上に更に努めて参ります。

今後とも引き続き、ご指導、ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。

令和5年4月

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